入居者のトラブルの中で発生率が高い「騒音トラブル」は、対応が難しいクレーム案件の一つで、対処法を間違えてしまうと問題をさらに難しくしてしまうので注意が必要です。
そのため、騒音トラブルに対してどのように対処するのが良いのか頭を抱えてしまうオーナーは少なくありません。
そこで今回は、騒音トラブルに対してオーナーがとるべき対処法についてお話していきたいと思います。
騒音トラブルが起きた際のオーナーの責任について
不動産を所有するオーナーには、家賃の対価として良好な住環境を提供する責任があります。
そのため、騒音トラブルが起きた際には、オーナーは騒音主に注意しなければなりません。
騒音トラブルの対応を怠った場合
騒音トラブルが発生しているにも関わらず放置したり対応を怠った場合、騒音トラブルの被害者から、引っ越し費用や損害賠償を請求される場合があるので注意が必要です。
居住者が暮らしやすい環境をつくるためにも、クレームを受けたらすぐに対応することを心掛けましょう。
騒音トラブルが起きた際の対処法について
①張り紙や個別の注意
騒音の苦情が寄せられた場合、物件内の掲示板に「静かにしていただくようにお願いします」などの張り紙をしたり、騒音主への注意が効果的です。
個別に注意する場合は、一方的に注意するのではなく、騒音を出しているとされる入居者の言い分もきちんと聞き、中立的な立場で接することが大切です。
②周辺の住戸への聞き取り
周辺の部屋の入居者にも騒音が聞こえているかどうか、きちんと聞き取りをして結果を記録しておきましょう。
ごくまれに、騒音が聞こえるという苦情を言っている入居者側に問題があるケースもあるので、本当に騒音があるかどうか客観的に判断するようにしましょう。
騒音問題が解決せず、退去してもらうケース
多くの賃貸借契約書では、禁止事項として「賃借人は騒音などにより近隣へ迷惑をかけないように使用する」「大音量でテレビ・ステレオなどの操作をおこなうことを禁止する」というような契約条項があるのが一般的です。
また、このような契約条項がない場合でも、近隣への迷惑行為をしないようにするという義務が「用法遵守義務」に含まれると考えられます。
そのため、この用途遵守義務違反を理由に「賃貸借契約書を解除し退去してもらうことが可能」と言えます。
ただし、賃貸借契約では契約違反があったとしても「信頼関係を破壊したと認めるに足りない特段の事情」がある場合は賃貸借契約を解除することができません。
「信頼関係が破壊された」という事実は、オーナーが証明する必要があるため、初期の段階から証拠の収集を心掛けておくことが大切です。