賃貸物件を運営する大家さんにとって、厄介な入居者の方は悩みの種ではないでしょうか。
賃貸借契約の終了を申し入れて合意が得られれば問題ありませんが、合意がなければさらに悩みが増えてしまいます。
せめて厄介な入居者との契約を更新することは避けたいとお考えの方も多いでしょう。
この記事では賃貸契約の契約更新は拒否できるのかについて詳しく解説します。
大家さん側から賃貸契約の更新拒否はできる?
賃貸物件の契約更新を拒否できるかどうかは、借主と締結した契約の形態によって変わります。
契約が普通借家契約であった場合は、大家さん側から契約更新拒否の意思表示が可能ですが、以下の条件を満たさなくてはいけません。
まず、必ず解約予告期間内に解約の申し出を借主に対しておこなうことです。
次に、契約更新を拒否するにあたっての「正当事由」があることです。
しかし正当事由に該当することを客観的に証明するのには難しい面があり、普通借家契約での契約更新拒否は難易度が高いと言えます。
一方、定期借家契約であった場合には、契約更新拒否は比較的スムーズにできます。
契約満了の半年から1年目の間に、不備なく更新拒絶の通知を借主に対しておこなえば、契約は更新せずに終了です。
終了することへの合意を借主から得る必要もありません。
賃貸契約の更新を拒否するための「正当事由」とは
正当事由の有無は、賃貸人・賃借人それぞれの事情やこれまでの賃貸借の経過、建物の利用状況などの要素を総合的にみて判断されます。
認められやすい事由とは、「入居者の建物使用の必要性よりも大家の建物使用の必要性が勝っていること」や、「家賃滞納や素行不良によって信頼関係が崩壊していること」などです。
正当事由が認められる例
●建物が古くなって建て替えの必要がある場合
●借主が契約違反して数か月家賃滞納している場合
●借主のせいで近隣から何度も苦情が寄せられている場合
借主との事情を客観的に証明することが難しい事由は正当事由とは認められにくいため、被害の程度を記録するなどして前もって証拠収集しておくに越したことはありません。
いずれにせよ、正当事由が認められることは比較的難しいことを念頭に置いてください。