賃貸物件を所有する大家さんにとって、地震対策は重要な課題のひとつです。
耐震基準の確認方法や、所有物件による被害が生じた場合の大家さんに及ぶ責任の範囲など疑問があると思います。
本記事ではそんな大家さんに向けて、地震対策についてご紹介します。
大家さんの義務?賃貸物件の耐震対策について
入居者の身の安全確保は、賃貸経営する大家さんの大事な役割であり、義務でもあります。
日本では、大きな地震がある度に建物の耐震基準が見直されてきました。
そして、阪神淡路大震災では倒壊した建物の多くが旧耐震基準でした。
耐震基準を確認しましょう
昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた建物が新耐震基準、それ以前のものが旧耐震基準です。
新耐震基準を満たす建物であれば、震度6強~7程度の揺れでも建物が倒壊・崩壊しないとされています。
賃貸物件の耐震性能が気になる!耐震診断を受けよう
旧耐震基準の賃貸物件はもちろん、新耐震基準でも築年数によって経年劣化が進むので、安全性に不安がある場合は耐震診断を受けることが大切です。
耐震診断にかかる費用の目安
費用は建物の延べ床面積で算出し、金額は建物構造により異なります。
●延べ床面積が1,000㎡~3,000㎡のマンション場合
鉄筋コンクリート造では、1㎡あたり1,000~2,500円
鉄骨造では、1㎡あたり1,000~3,000円
耐震診断の流れ
地方自治体が相談窓口を設けていたり、窓口がなくても自治体のホームページで案内していたりします。
予備調査として設計図書の確認や聞き取り調査後、1次調査、2次調査、精密調査と進行します。
大家さんの責任はどこまで?地震対策としてできること
地震による賃貸物件の倒壊で、入居者の命が奪われたケースがありました。
大家さんが損害賠償責任を負った事例があるので、耐震意識を持つことの重要性がうかがえます。
予想をはるかに超える災害により被害が発生しても、安全性を確保する義務を果たしていれば不可抗力とみなされ、損害賠償請求責任を問われる可能性が低くなります。
民法における建物の瑕疵について
建築時に建物が耐震基準を満たしていなかった場合、建物の設置に瑕疵があったとみなされることがあります。
また建築時に耐震基準を満たしていても、老朽化による被害が生じたら、建物の保存に瑕疵があったとみなされる場合があります。
建物の瑕疵が認められると大家さんに損害賠償責任が問われる可能性があるので、一度、所有物件の耐震性の確認をしたほうが良さそうですね。
火災保険の加入
建物の火災保険に付帯して、地震保険に加入すべきか検討しましょう。
保険によって補償内容や範囲が異なるので、災害が発生する前に改めて契約内容を確認しておくことが大切です。
また賠償責任への備えとして、施設賠償責任保険の加入も検討してみてください。